クライミングスクール・ジムJ&S池袋とJ&S駒沢のブログです。会員様向けに、休業日やイベントのお知らせ、ジムやクライミングに関係あること・ないこと、楽しかったこと・おもしろかったことを載せています。
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再見
朱色のテーブルに、蒸かし上がった小龍包が運ばれてきた。

レンゲに入れ、口に運ぶ。ハフハフ言いながら噛み付くと、熱いスープが。火傷しそうなのをこらえ、チンタオビールを1口。更にもう1つ。要領が分かってきたから余裕で味わう。少しだけ黒酢を入れて。いい香りと共に、熱いものが出てきた。

海老と卵の炒めものを、半分に分け、俺によこす。三年物の紹興酒と一緒に、胃に入れる。ショーリンは、ヘタな日本語で「うまかー」、クシャクシャな笑顔でこちらを見る。


チャイニーズ・マフィア、ショーリンとの出会いは20年前。

俺が作ったガレージジム。
夜の10時、人がいなくなったタイミングでやってきた。

「もう終わり」。そう言うと、「そんなせっしょうなー」と、禁断症状で震えてる手を見せた。「1時間だけ」という約束で、カウンターのイスに、腰を降ろした。

"スタッフが帰っても、あなたは登っていていい!"の時代では、まだなかった。


ショーリンの登りは見るものを、釘付けにする。小さなホールドに、手に足をかけ、ジワジワとスタッテックに取りに行く。ベースとなる力がないと、出来ないことだが、リーチがない分、それを補うために。自然と鍛えられたのだろう。


奴は忘れた頃にやってくる。こちらが無防備のときに、気付くと横に立っている。黒光りしたインナーマッスルを、男物のチャイナ服の中に隠し、「ひさしぶりねー」と、クシャクシャな笑顔で、こちらを見てる。

俺がヘタな北京語で近況を聞くと、「ダメダメネー」と、笑っている。組織が儲からないから、ろくに登れないと、"抗争とクライミングの関係"を考えたが・・・、やめた。

ショーリンは、垂直専門だが、ここ最近は、傾斜もやるみたいで、結構強い。2,3本登ると、禁煙のマークを無視して、ショートホープに火をつける。自分の手を灰皿にし、最後は自分の手で握りつぶす。

「熱くないの?」と、聞くと、笑いながら「太熱了!」と、時々、北京語を話す。そして、いつの間にか、いなくなる。また意外な再会まで。


熱いタンタン麺をすすりながら、「このあと時間は?」。

野菜とゆばのやきそばは、味はいいが麺が焦げてるところが、気になった。「別に大丈夫」と、答えると、「食後のエクササイズしよう!」と、店の地下に案内された。

4メートル X 4メートルの垂直の壁。でも、ホールドは無し。

代わりに、先端だけ、指が傷つかないように丸めてある、長さが違う釘が打ってある、中国語で釘の下に何か書いてある。

「何これ?」
「これは、指・指定ね」
「ハア・・・」
「ドクロが、逆さになってるスッテカーは、小指だけね!」

ジャスミンティーを飲みながら、俺は見学にまわった

それから1時間。
ショーリンの"釘クライミング"を堪能させてもらった。


3年後・・・

やつが来た。

そして「再見ね」と。

「組織の抗争が・・・たぶん命ないねー。最後に会いたっかたよ」と、クシャクシャな笑顔。

「さよならだけが人生だよと」北京語で言うと、「しぇしぇ・・・先に逝ってるよ」

「少し登ってくか?」
「おーおー、おおきに」と、関西弁。


そして3日後。

新宿歌舞伎町でマフィア同士の抗争で死者4名
主格の男は全身に20発の弾丸を・・・・


ショーリン、やっと休めたな。


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