クライミングスクール・ジムJ&S池袋とJ&S駒沢のブログです。会員様向けに、休業日やイベントのお知らせ、ジムやクライミングに関係あること・ないこと、楽しかったこと・おもしろかったことを載せています。
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アブラカダブラ
朝から吹いていた南風も止み、森の中は湿度も低く、生きるのにいい状態。体も軽く、筋肉は取替えたのかと思うくらい柔らかい。

出来なかったムーブも簡単にこなし、岩の上に立った。滅多に訪れない神懸かった日、こういう日は、長居無用。帰り支度すると、タイミング良く、イミテーションの匂いがする3人組がやってきた。

それとは別に現れた監督が、微々たるギャラで、オレに通行人の役を頼んできた。主人公の男は、オブザベもアップもなしに、離陸の準備に入った。

何度やっても、体が上がらない。そのうち独り言をブツブツ。

「おかしい・・・、こんなはずじゃ・・・」

脇役の一人が気遣う。

「000、調子悪いね、今日は」

別の脇役も、声を荒げる。

「この岩場わりぃーよ」

監督の「アクション!」の合図で、さらにトライ。自尊心が少しだけ傷ついた頃、通行人役の俺に、質問してきた。

「スタート、これでいいんですよね?」

心の中で「他にどこにあるのよ?」と思いながら、しゃべっちゃダメな役なので、うなずいた。

うまく演技が出来ない主役は、苛立っていた。そして、同情をそそる目でオレに話しかける。

「自分は、他の岩場で、段をいくつも登ってるんですが、ここはムズイですね」

監督に許可をとり一言。

「ムーブはできてるの?」

「はい、昨日、YouTubeで」

名士コバ〇シの言葉を借りるなら、“推理小説の後書き読んどいて、犯人分かったような”顔してる男。そんなものを見てからやるから、さらに自尊心は・・・だろ。

あの動画にUPしてくるガキは、サラッと登ってるように見えるが、実際は何度も何度も、「もうこれ以上無理です、勘弁して下さい」と、取り立てにきた闇金に頼む中小企業の社長状態になってやっと、出来てるんだよ。それを腕もないのに、見ただけで出来たら苦労しない。

「もう一度、1から演技を学ぶんだな!」

監督に「ギャラは要らないから」と断り、その場を後にした。


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